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レポート2022.04.17「身の引き締まる思いでした」主演の武藤十夢さんが撮影時の強い思いを告白。『おかあさんの被爆ピアノ』舞台挨拶
4月17日(日)那覇市の桜坂劇場ホールBで『おかあさんの被爆ピアノ』の特別上映と舞台挨拶が開催されました。上映後に行われた舞台挨拶にはダブル主演の一人・江口菜々子役を務めたAKB48の武藤十夢さんと監督の五藤利弘さんが登壇しました。
この作品は、昭和20年8月6日8時15分に広島に投下された原子爆弾で破壊的な状況の中、被爆しながらも奇跡的に焼け残ったピアノを修理し、自らトラックを運転して全国をまわりながらコンサートを続ける調律師・矢川光則さんがモデルとなった実話を基にしたストーリー。母・江口久美子(森口瑤子さん)が被爆ピアノを寄贈したことを知り、被爆ピアノコンサートに行った菜々子が、調律師の矢川(佐野さん)との出会いを通して被爆ピアノ・広島のことを考えるようになり、自身のルーツを探していく内容が描かれています。
登壇した五藤監督は「2009年にドキュメンタリー番組で矢川さんを1年間密着取材させてもらったことがきっかけで、テレビ番組では表せない部分を映画にしました。昨年30カ所で上映させていただきましたが、沖縄での上映は今日がはじめて。嬉しいです」と笑顔。
武藤さんは「レッドカーペットを歩くのは今回が初めて。占いの方に『あなたレッドカーペット歩くよ』と予想されていましたが、まさかと思っていた。本当に叶って嬉しい」と頬をゆるませていました。
タイトルに「おかあさん」と入れた理由を聞かれた五藤監督は「菜々子、お母さん、おばあちゃんと世代を越えて想いがつながっていることを感じ取って欲しくて、タイトルに入れました」とコメントしました。
被爆ピアノの存在は出演をきっかけに知ったという武藤さんは「映画を通して、役柄の菜々子と一緒に学ばせていただきました。撮影の前に広島平和記念資料館に足を運びましたが、焼け残った三輪車やその当時の手紙を見て、身の引き締まる思いでした」と語っていました。
さらに、ピアノの経験が14年あるという武藤さんは、作品の中でベートーベンの「悲壮」を弾くシーンも。「演奏会のシーンは原爆ドームの前で弾いたのですが、その大きな意味を感じていました。主人公の菜々子はあまりピアノが上手じゃなく、私もあまり弾けないのですが、今回たくさん練習しました。練習しすぎたかな」と撮影に対する真剣な姿勢を思い出しながら告白。それに対し、五藤監督は「ピアノのシーンは差し替えたりすることが多いのですが、今回はそのまま使用しました。だから武藤さんには『ちゃんと下手に弾いてください』と伝えましたね」と明かします。
最後に武藤さんは「この映画はぜひ若い人に見て欲しいです。このご時世だからこそ、戦争や平和を考えるというきっかけになってくれたら嬉しい」とアピール。五藤監督は「被爆ピアノの音色を記憶とどめていただき、こういう映画があることをぜひ回りの方にも伝えてくれたら嬉しいです。また沖縄で上映したいです」と〆ました。