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レポート2022.04.17沖縄の歴史とその裏であった何でもない日常を描く『あの夜、コザにいた。』舞台挨拶
4月17日(日)、那覇市の桜坂劇場ホールBで『あの夜、コザにいた。』の上映と舞台挨拶が行われました。
この作品は、アメリカ統治下の沖縄・コザにある建物の屋上で、2人の男性が過ごす「何でもない日常」を描いていて、時代が大きく動き出すなかで「何でもない日常」の中にある「歴史」がテーマになっています。
上映終了後、主演の金城裕一さん、しんさん、監督の丹野雅仁さんが登壇しました。まず、丹野監督から「大きなスクリーンで日の目を見られて、非常にうれしく思っております」と挨拶。兵庫県出身という丹野監督は、映画を製作したきっかけについて「資料を読んでいるうちに、コザ暴動という特殊な事件に興味を持ち、近くにいたけど関係のなかった人々は何をしていたのだろう。ということをやってみたかった」と語りました。
主演の金城さんは制作時のエピソードとして「丹野監督からラストシーンを知らされずに、ただただ2人の青年がしゃべっているように撮影してくれと指示を受けました」と話し、会場が驚きに包まれました。それについて丹野監督は「若い世代の人が話の内容が“あるある”だと思って観てくれて、ふたを開けたら実はこういう時代でこういう話だったんだ…と肌で感じてもらえたらうれしい」と話してくれました。
屋上のシーンを彩る美術について聞かれた丹野監督は「美術が一番大変で手間がかかりました」と言い、特にこだわったこととして「屋上の壁などの汚し方に手間をかけました」と、撮影時の苦労を語りました。
最後に丹野監督は「短編を一本観ていただきましたが、面白い題材だと思っているので、シリーズ化して同じ日の違う場所にいた人の話を制作していこうと思っています」と、丹野監督の続編への意気込みで締めくくられ、この日の舞台挨拶は多くの観客に見守られ、盛況のうちに終了しました。
個別取材には金城さん、しんさん、丹野監督が参加し、今回の作品に対する思いを語ってくれました。作品のきっかけとして丹野監督は「僕が内地の人間なので、『コザ暴動』という歴史的な出来事自体がほかの場所にはないことなのですごく興味を引かれた。コザ暴動は事件としてはデカいけど、起こった範囲や時間はすごく狭い。そうなると関わってない人たちは何をやっているんだろうという思いがあった」と語ってくれました。
金城さん、しんさんは過去に演劇関連で少しだけ接点があるそうで、金城さんが「相手が知っている人で良かった」と安心したの対し、しんさんは「僕より身長が高いのに、コンプレックスだっていうから(俺はいろいろ)負けねえぞ」と対抗心を燃やしていたことを明かし、金城さんを驚かせていました。
丹野監督にとって沖縄国際映画祭は「何年も沖縄に出入りし、友達などがいっぱいいて、 “毎日ふらふらしている人”と思われているので、僕はこういう仕事をしていますよとみんなに見てもらう場です」と冗談を言いつつも、次回作も沖縄を描くことに意気込みをみせていました。
最後に丹野監督は「限られた予算で作ったので(当時の)空気を再現できていればと。見た人に当時はこうだったね、と言ってもらいたい。若い世代も観ることで当時の時代を感じてほしい」とコメント。金城さんが「自分と同じ世代はコザ暴動について知らないので、この作品を観て触れる機会があったらいいなと思います」と語ると、しんさんは「父親世代に雰囲気が伝わればいい。芸人としてテレビでほかの芸人に乳首を吸われたのが放映されて、“家の恥だ”とお叱りを受けたけど、映画も出ているよと挽回したい」と最後は笑いで締めくくっていました。